WebSphere Application ServerのTraditionalランタイムからLibertyランタイムへ移行するために使用するツールを検証しました。

背景・課題

Traditional ランタイムは、Java EE 7 / Java 8 対応を実装した現行の実装(Ver 9)が最後のバージョンとなります。Liberty ランタイムは、新しい機能を今後も取り込んで進化を続けること、メモリ消費が少なく高速起動、クラウドの使用・コンテナ環境などにも最適と聞き、それぞれのランタイムおよび移行ツール Transformation Advisor の使用感を検証しました。

製品概要

WebSphere Application Server(以降 WAS)は、Java の業界標準仕様に対応した国内外で最も高いシェアを持つアプリケーションサーバーです。Traditional と Liberty の2種類のランタイムがあります。各種 Edition のうち、Base Edition および Network Deployment Edition は2種類のランタイムのうちどちらかを選んでインストールすることができます。Liberty Core Edition は Liberty ランタイムのみに特化し、機能を絞って安価でお求めいただけるEdition になります。

Transformation Advisorは、Java EE アプリケーションをLiberty ランタイム環境へ移行する際の課題を調査するツールです。プログラムロジック、使用するライブラリ、フレームワーク、ミドルウェアなどによる移行難易度をレポートします。WAS 9.0.5 以降の管理画面から使うこともできます。Local版(ベータ)をダウンロードして90日間使用することもできます。今回の検証ではLocal版を使用しています。

検証環境

下記の4種類の環境を用意しました。WebSphere Application Server の Version は9.0.5 です。

① Base Edition を Traditional ランタイム選択してインストールした環境。疑似的なアプリケーション移行元とし、WAS 付属のサンプルアプリケーションをセットアップして診断ツールの対象としました。

② Base Edition を Liberty ランタイム選択してインストールした環境。Traditional ランタイムと Liberty ランタイムのインストール手順および管理方法の比較、および疑似的なアプリケーション移行先候補として使用。

③ Liberty Core Edition をインストールした環境。Base Edition の Liberty ランタイムとインストール手順および使用できる機能の比較、疑似的なアプリケーション移行先候補として使用。

④ Transformation Advisor Local 版(ベータ)をインストールしたノートPC。診断ツールの実行用。

手順

1)④環境で調査対象の環境の OS の種類を選択し、スクリプトをダウンロード。スクリプト実行コマンドおよび説明文をメモ

2)①環境でスクリプトを設置し実行。生成されたzipファイルを取得

3)zipファイルを④環境にアップロードして調査

Application Technology Evaluation Report

所感

スクリプト実行コマンドのオプション指定方法の調査に手間取りましたが、比較的簡単に調査結果を出力できることがわかりました。
WASのTraditional ランタイムの管理画面で同様にスキャンを行うことができるのですが、本番環境と開発環境を別々に用意していない場合は、本番環境上でスキャンを実行し、結果を閲覧することになります。
Local版(ベータ)の場合は、スクリプトの実行のみを調査対象環境で行い、出力結果の閲覧は自分のノートPC上に構築したTransformation Advisor環境で行えるためより安全と感じました。