概要
建設現場では、危険予知(KY)活動が安全管理の基本ですが、経験に依存しやすく、過去の事故から得られた知見が十分に活用されない課題がありました。B社は、生成AIによるRAG(Retrieval Augmented Generation)型検索AIを導入し、スマートフォン用Web UIと組み合わせることで、現場から過去の類似事故を即時検索できる仕組みを実装。KYの質と実効性を大きく向上させました。本事例では、背景、課題、解決策、成果を具体的にご紹介します。
事例先のお客様
B社は、通信インフラ設備・土木工事を中心に全国で建設・施工サービスを提供する企業で、従業員約400名規模の中堅建設会社です。多数の施工現場を抱え、現場ごとの安全管理と再発防止策の標準化が経営課題となっていました。
課題
B社が抱えていた主な課題は以下の通りです。
- 属人的な危険予知活動
経験豊富なベテランと若手作業員で危険抽出に差があり、KYの質にばらつきがあった。 - 過去事故データの未活用
- 検索性の低さ
事故報告書から必要な情報を探し出すのに時間がかかり、現場で活用できていなかった。 - 再発防止策の属人化
過去事故の知見が共有されず、同種事故対策が後手に回ることがあった。
これらが複合的に作用し、同種事故の再発リスクやKY活動の効果低下につながっていました。
解決策
B社は、RAG型過去事故事例検索AIのPoC(概念実証)を実施し、以下のような仕組みを構築しました。
- 構造化データとRAGエンジンの連携
過去の災害・ヒヤリハット報告書をテキスト化、タグ付け(工種・作業内容・原因・対策)したうえで、動画ナレッジ活用の用途で利用している『Video Questor』のRAG機能に登録し、類似事故検索のベースデータとしました。 - スマホ対応Web UI
現場作業員がスマートフォンから工種・作業工程・作業環境を選択するだけで、類似事故の概要・発生原因・対策ポイントまでを即時に確認できるようにスマートフォン用Web UIを採用しました。このスマートフォン用Web UIは『Video Questor』のRAG機能APIを利用して、RAGエンジンが過去の事故事例の中から類似事故を自動抽出することで実現しています。 - 直感的な操作性
選択式UIとチャット形式の出力により、ITリテラシーに関係なく誰でも簡単に検索・活用が可能です。
成果
RAG型事故事例検索AIのPoCを通じて、B社では以下の成果が得られました。
- マンネリ化防止
AIが過去の類似事故をレコメンドすることで、毎回異なる視点からの危険要因が提示され、KY活動のマンネリ化防止に寄与しました。 - 未知のリスクへの気づき
構造化された事故事例を参照することで、経験の浅い作業員でもベテラン並みの視点で潜在リスクを抽出できるようになり、未知のリスクへの気づきが促進されました。 - 安全意識の向上
具体的な類似事故事例を知ることで、危険を“自分ごと”として捉える意識付けが進み、安全意識の向上と現場の積極的なKY参加につながりました。
まとめ
B社は、RAG型過去事故事例検索AIのPoCを通じて、属人的な安全管理から脱却し、事故データを“現場で使える知見”へと変革しました。本事例は、過去の知見をデータ資産として活用し、危険予知の質とスピードを同時に向上させた成功例です。
| AIVideo QuestorNDIソリューションズ株式会社 |
記事提供元
NDIソリューションズ株式会社
https://www.ndisol.jp
