概要
ソフトウェア開発現場では、コードレビューの負担増大・セキュリティリスクの見落とし・レガシーシステムのモダナイゼーション遅延など、エンジニアが抱える課題は山積しています。IBMが新たに提供する「IBM Bob」は、開発者のIDE(統合開発環境)の中に常駐し、チャット・コードレビュー・脆弱性検出の3つの機能を統合したAIソフトウェア開発パートナーです。開発者の意図・リポジトリの文脈・セキュリティ基準を理解した上で、質の高いコードをより速く出荷することを支援します。
特徴
IBM Bobは「AIコーディングアシスタント」の枠を超え、開発チーム全体のワークフローに深く統合された存在です。単なるコード補完ではなく、リポジトリ全体のコンテキストを理解した上でアドバイス・レビュー・検知を行うため、チームメンバーの一人と協働しているような体験を提供します。
特に以下の3点が大きな特徴です。
- IDE内でシームレスに動作:開発フローを中断せず、その場で設計・デバッグ・コード改善が可能
- エージェント型の自律的なコードレビュー:開発者の意図を読み取り、問題を早期に検知して理由まで説明
- セキュリティを開発プロセスの中心に:認証情報の漏洩や脆弱性を、プルリクエスト到達前にリアルタイムで検出
機能
チャット機能(Chat in your Editor)
BobはIDE内部に常駐し、設計相談・デバッグ支援・コード改善提案などをチャット形式でリアルタイムに提供します。リポジトリとコンテキストを理解した回答は、チームメンバーへの質問と変わらないクオリティです。
コードレビューモード(Code Review Mode)
単なるLint(構文チェック)を超えたエージェント型のレビューを実施。開発者の意図を把握し、問題点を早期に洗い出すとともに、その理由を明確に提示します。従来のレビューで生じていた「手戻りのボトルネック」を、教育的・予防的なフィードバックに転換します。
脆弱性・シークレット検出(Vulnerability & Secrets Detection)
AIを活用したセキュリティ機能がコーディング中にリアルタイムで動作し、APIキーや認証情報の漏洩・脆弱性コードをプルリクエスト前に検出。セキュリティ対策を後工程から開発プロセスの前段へ移行させます。
モダナイゼーション支援
- Javaモダナイゼーション:Java 8 → 17以降への自動アップグレード、StrutsやJSFからReact・Angular等のモダンなフレームワークへのマイグレーションを支援
- DevSecOps対応:Ansible・TerraformなどのツールチェーンとAIを組み合わせ、セキュアなデプロイと構成管理を支援
- エンタープライズ対応:組織の標準コーディング規約・テストフレームワーク・コンプライアンス要件(FedRAMP、HIPAA、PCIなど)への適応が可能
【画面例①】 チャット機能:日本語で指示するだけで仕様書・コードを自動生成
①要件指示 → ②仕様書生成 → ③コード生成 → ④サーバー起動まで、IBM Bob(VS Code上)が一気通貫で対応。プロンプトは日本語で入力するだけ。

【画面例②】 IBM i 対応:RPGコードのコンパイルエラーをBobが自動検出・修正提案
FFRPGソースのコンパイルエラー(%DIV関数のパラメータエラー等)をBobが検出し、修正箇所と改善内容を具体的に提示。IBM i 上のRPG開発でもBobが頼れるパートナーとして機能します。

※ 上記スクリーンショットはイグアス社内検証環境での実際の使用画面です。
IBM i 対応:RPG/COBOLのモダナイゼーションを強力支援
IBM Bobは、従来のwatsonx Code Assistant for i(WCA for i)の機能を統合・発展させ、IBM i プラットフォーム上のレガシー資産モダナイゼーションを包括的に支援します。RPG・COBOL・CL・SQLといったIBM i 固有の言語に対応した唯一のAIコーディングパートナーです。
対応言語
- RPG(固定形式RPG IIIから自由形式RPG IVへの変換支援を含む)
- COBOL for i
- CL(制御言語)
- SQL(Db2 for iのパフォーマンス特性への理解を含む)
- Java / Python
主な機能
- コード理解:複雑なRPG・CLの内容を自然言語で即座に説明。依存関係・コールチェーン・業務ロジックを可視化
- ドキュメント自動生成:既存RPGコードの設計書・仕様書をAIが自動作成
- コード変換支援:既存RPGをより新しい形式へ安全に変換。変更前の単体テスト作成も支援
- セキュリティ助言:データベース構造に対するセキュリティ上の推奨事項をBobが提示
- 日本語対応:英語・スペイン語に加え、日本語でのインタラクションにも対応予定
Premium Package for i(近日提供開始予定)
標準のIBM Bob機能に加え、IBM i環境との深い統合を実現する専用パッケージです。まずは通常のBobをご活用いただくことで、Premium Package for i 提供開始後の展開を円滑に進められます。
| 現場のニーズ | Premium Package for i での対応 |
|---|---|
| IBM i 環境全体の深い可視化 | IBM BobがIBM iに直接接続し、環境全体を参照。Copybook・依存関係・コールチェーンを自動で解決。 |
| ツール切り替えなしの統合操作 | 単一画面上で閲覧・編集・コンパイル・テストを一元化。コンテキストを保ったまま作業継続が可能。 |
| IBM i 開発ワークフローへの適合 | 標準的なIBM i 開発ワークフローに合わせた専用モードと /commands を提供。 |
| 分断のない統合的な開発体験 | BobとIBM i を横断した統合操作環境。コピー&ペースト不要で直接接続。 |
IBM i AI活用のロードマップ
| IBM Bob(現行) | Premium Package for i(近日提供) |
|---|---|
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※ Premium Package for i の提供時期・詳細仕様は未確定です。最新情報はIBMまたはイグアス担当営業にご確認ください。
動作環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 動作環境 | IDE内プラグインとして動作(対応IDE詳細は公式サイト参照) |
| 提供形態 | SaaS/クラウドベース |
| 管理コンソール | クラウドベースのGUI管理画面あり |
| コンプライアンス対応 | FedRAMP、HIPAA、PCI対応 |
※ 最新の動作環境・対応IDEについては、弊社担当営業またはIBM公式情報をご確認ください。
参考価格
IBM Bob Enterprise SaaSのご利用には、以下の3つのライセンスが必要です(①②③必須、④⑤はオプション)。
| ライセンス名 | 月額単価(税別) | 年額単価(税別) | 必須 / オプション |
最低発注 |
|---|---|---|---|---|
| ① 開発ユーザーライセンス(1名・指名ユーザー) | 3,187円/名 | 38,244円/名 | 必須 | 1名/1ヶ月 |
| ② 年間プール型追加利用枠(1,000 Bobcoin = 2億トークン) | - | 79,692円 | 必須 | 1,000 Bobcoin |
| ③ SLAライセンス | 0円 | 0円 | 必須 (自動付帯) |
自動 |
| ④⑤ 上位サポートライセンス(④+⑤セット) | ①の15%+ ②の15% |
年40万円以上 (規模により変動) |
オプション | ①②と同数 |
※ 価格は税別。2026年3月24日時点のエンドユーザー向け標準料金にもとづきます。今後の価格変更にはご注意ください。
※ 最低発注は1名/12ヶ月以上・1ヶ月刻み。翌年更新時は約3%のアップリフトが発生します。
※ 価格は日本円固定(為替レート連動なし)。詳細はイグアス担当営業までお問い合わせください。
※ Premium Package for i(2QGA予定)のご利用には、上記ライセンスとは別途料金が発生します。詳細はイグアス担当営業までお問い合わせください。
Tシャツサイジング(規模別の年額目安)
初期導入規模の目安としてご参考ください(基本サポートのみの場合)。
| 項目 | X-SMALL | SMALL | MEDIUM |
|---|---|---|---|
| ユーザー数 | 10名 | 20名 | 50名 |
| ユーザーライセンス年額合計 | 382,440円 | 764,880円 | 1,912,200円 |
| 1ユーザーあたり年間Bobcoin | 2,000 coin (400Mトークン) |
2,000 coin (400Mトークン) |
1,000 coin (200Mトークン) |
| 追加利用枠 年額合計 | 1,593,840円 | 3,187,680円 | 7,969,200円 |
| 年間総額(基本サポートのみ) | 1,976,280円 | 3,952,560円 | 9,881,400円 |
Bobcoin消費例(実績ベース)
1 Bobcoin = 200,000トークン(20万トークン)/ $0.5 per 200,000トークン
| タスク内容 | 消費Bobcoin | 規模感 |
|---|---|---|
| ① 中規模アプリの新規開発 (試行錯誤含む) |
200 Bobcoin (= 400Mトークン) |
C#コード約7万行+ ドキュメント約1.5万行 |
| ② 小規模アプリの仕様生成 (1回分) |
20 Bobcoin (= 40Mトークン) |
COBOLソース約9千行 → 設計書ドキュメント約2.2万行 |
| ③ 小規模ツールの新規開発 (1回分) |
30 Bobcoin (= 60Mトークン) |
ドキュメント約2.2万行 → Javaコード約2万行 |
※ 上記はイメージ用の参考値です。実際の消費量は開発内容・改修フェーズ等により変動します。
※ Bobは用途に応じてGraniteモデル等を動的に切り替え、トークン消費を最適化します。
まとめ
IBM Bobは、AIが「コードを書く補助をする」段階から「開発チームの一員として品質・セキュリティ・モダナイゼーションを丸ごと担う」段階へと進化した製品です。開発スピードの向上とセキュリティの強化を同時に実現できるIBM Bobは、2026年のAI駆動型開発の新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。特に、レガシーシステムのモダナイゼーションを急ぐ企業や、DevSecOps体制を整備したい企業にとって、強力なソリューションです。
お問い合わせ・資料請求
IBM Bobの詳細・お問い合わせはこちら
https://www.i-guazu.co.jp/lp/solution/ibm_bob/
記事提供元
日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM Japan)
https://www.ibm.com/products/bob